2025年12月27日土曜日

正12面体の迷路(3) 迷路枠の設計2

頂点枠パーツの作成

  迷路を接続する枠までが出来上がりました。この接続枠だけでは、つなぎ合わせることができないため、接続枠同士を接続するパーツ「頂点枠」を作ります。


 接続枠の形に合わせて造形します。ネジ穴のサイズは、タッピングネジ3mmが留められるように、2.9mmとしています。

 これをそれぞれの接続枠に作ります。(全部で3個)

 このパーツを結合します。


 ここままでは、造形するときにサポートが必要になるので、造形しやすいように底面をカットして、平らにします。


 これでパーツが完成しました。

パーツの組み立て 

 パーツをタッピングネジM3で留めていきます。
 組み上がると正12面体の立体迷路が完成します。

 この立体迷路は「合格(五角)迷路」として、ものづくり工作キットとしています。
 子供たちなどのものづくり講習会で利用する予定でいます。


 材料費 約450円


正12面体迷路の応用


 ここまで説明してきたことお応用すると、いろいろな立体迷路を設計することができます。

 例えば、正12面体によく似たものに「サッカーボール」があります。
 ネットで調べると、面と面の角度なども調べることができますので、この角度で設計すると、右図のように「サッカーボール迷路」が出来上がります。


注意
 3Dプリンタの性質上、立ち上がる面の角度が小さい(水平に近い)と、うまく造形できません。サポートを使うか、水平面を作り、造形しやすい形状にする工夫が必要です。

正12面体の迷路(2) 迷路枠の設計

  五角形の迷路が出来上がりましたので、これらを立体にする枠を設計します。

「正12面体の迷路(1)」で出来上がっている五角形迷路に正12面体を追加します。

(1)五角形の追加

 迷路よりも少し大きな五角形を作り、0.5mm押し出しをして五角柱を作ります。(大きさは後で調整します)






 この五角柱と迷路をコピーして、立体にしていきます。
(五角形の辺が接するようにしてコピーします)


 正12角形の性質から、面と面のなす角度は、116.565°です。
 これを繰り返していくと、正12面体になっていきます。




 

(2)五角形迷路の間隔の調整

 迷路と迷路の間に接続する枠が入ります。この時にネジ止めするため、迷路間は4.0mm以上(ネジ穴3.5mm+余裕)の間隔が必要です。(1)で追加した五角形の大きさをスケッチの再編集で変更して、迷路間が4.0mm以上になるように調整します(例では4.09mmとなっています)。


(3)接続枠の設計1

 迷路間に垂直な平面(右図の赤線の示す面)を「構築」-「3点を通過する平面」の操作で、平面を作ります。


 この平面に接続枠となるスケッチを追加します。


 迷路の外形に合わせて、入力します。








 押し出しすると、接続する枠パーツが出来上がります。

 この形状は、3Dプリンタで造形しにくいため、上下に分割します。

 その後、迷路間をボールが「通過できる通路の追加」、「ネジ穴」を追加します。

 通過でき通路は、中心に5mm幅で空けました。


(2)接続枠の設計2

 この接続枠を、正12面体の3面にコピーします。
 
 3つ接続枠の重なる部分が埋まるように、接続枠を横方向に押し出しをします(押し出す長さは埋まるようになるまで)。



 重なる部分をカットするために、平面を3面構築します。

 この平面で接続枠を切断します。

 できれば、製作するときに余裕があると行いやすいので、この平面よりも0.1mm程度短くなるように切断するとよいです。

 この操作で、不要な部分のカットをして、接続できるパーツが出来上がります。

 これを両側を同じように処理すると、接続枠のパーツが完成します。

 パーツは対称形なため、「分割」ー「ミラー」ー「結合」を処理することで製作することもできます。


 








 ボールが通過できる部分に、右図のようにでっぱりを付けます。この形も造形すると、ボールが通過できる部分とできない部分が出来上がり、より迷路が複雑にすることができます。(組み立てるときに2つのパーツを組み合わせて製作する)



正12面体の迷路(1) 概要・迷路面設計

正12多面体の迷路 

 立体迷路として、右図のような正12面体をベースにした迷路の設計について解説します。

 この迷路はものづくりキット「合格(五角)迷路」として、子供たちのものづくり講習会用の製作キットとして設計開発したものです。
 この設計を応用すると、いろいろな形状の立体迷路を設計することに活用できます。

正12面体

 いろいろな立体がある中で、正多面体という立体があります。これは、立体の各面が正多角形をしたものです。この正多面体は5種類しかありません。
 その一つが正12面体です。右図のようにすべての面が正五角形をしています。


迷路の設計

 正12面体の各面に迷路にして、遊ぶことができる立体迷路を作成します。

 各面を迷路にするだけでなく、右図のように、隣の迷路にボールが移動できるように、ボールが通ることができる通路(スペース)を作ります。この通路は五角形の各辺に作ります。

 迷路壁と壁の間は、ボールのサイズから決めます。例えば、4.0mmのボールを使うときに、スムーズに動くため、壁との間にスペースが必要です。これを考慮して、壁間を5.0mmとしました。
 また、壁の厚さは3Dプリンタで造形する関係から、私の持っているBambu A-mini(ノズル0.4mm)では、壁厚0.4mmではうまく造形ができず、壁厚0.5mm以上であれば迷路の造形ができました。




 これをもとにして、迷路を作成します。
 まずは、迷路の大枠を作ります。設計から、壁間5.0mm、壁厚0.5mmとします。右図のように、ボールが通る場所が決まります。ここから迷路になるように不要な壁を消していきます。

 これで、五角形型の迷路データが出来上がります。

3Dプリンタの造形

 迷路データをFusion360に取り込み、3Dデータ作成します。データの取り込みは、輪郭をDXF、SVG形式に変換して、取り込みます。
 押し出しで、5mmとして、迷路の壁を作成します。その後、底面を0.5mm厚で作ります。(迷路の厚みは、壁+底面=5.5mmとなります)
 3Dプリンタで造形します。この時、途中で異なる色のフィラメントに変更することで、図のようにメリハリのある迷路を作成できます。
 迷路の面は12面あるので、12個製作します。
 迷路の形やフィラメントを変えると、より見栄えがします。数学の「4色定理」から、4色以上の色を使うと、隣り合う迷路の色が異なるように製作できます。


2025年12月12日金曜日

視力検査装置の開発・製作 2(ハードウェア)

  前回の投稿では、視力検査装置のソフトウェアでした。ESP32マイコンを使い、さらなる効率化を行いました。

 以前のシステムは、動作環境はパソコンとなったのですが、キーボード操作は職員が行っていました。

 ESP32マイコンの登場により、Bluetooth、WiFiの環境が簡単に利用できるようになりました。


 ことから、ESP32マイコンにスイッチを接続することで、BLE通信による入力デバイスを開発しました。

入力デバイス設計

 スイッチとして、押しボタンスイッチを選択する際、押しやすさや押したことが分かるように自照式を採用しました(右図)。
 また、押したことが分かるようにクリック音を鳴らすブザーを追加しました。

 右図が回路図です。







 上の回路図では電源部分が欠落しています。電源は半田付けしやすく、入手しやすいUSBコネクタ(Bタイプ メス)を付け、5V電源供給をしています。(ACアダプタでは電圧が異なると回路が破損する恐れがあるため、5V供給のUSBを選択しています)

プログラミング

 ESP32マイコンのBLEのプログラミングは、ライブラリ「BleKeyboard」を追加すると、ESP32マイコンから、Bluetooth接続されたPCに、キー操作を送信するサンプルプログラム「SendKeyStrokes」がありますので、キーボードとして簡単に働かせることができます。
 ここに、スイッチ入力により、キー送信するようにすること、LED点滅、ブザー音を追加するだけでプログラムは完成します。


完成写真

 右図が完成写真です。
 図中の左が上からみた図です。押しボタン4個とBLE接続表示LEDがあります。
 図中が真ん中が斜め横からみた図です。ESP32マイコンが破損しても交換可能なようにソケットにさしています。このため、スイッチ基板とマイコン基板の高さを合わせるようにしています。
 図中の右側がデザインアクリルを付けた完成図です。

実際に使用して

 実際に使用している写真(右図)です。
 職員がPCで開始操作(Enterを押す)をすると、画面にランドルト環が表示されていきます。
 生徒は画面をみて、手元の入力デバイスから向きを入力していきます。

 この入力デバイスを使用した結果として、生徒が直接入力できるため、検査時間の短縮、検査に携わる職員の削減などの効果がありました。
 また、生徒がゲームに慣れているためか、ゲームの操作感覚であり、スムーズに操作できている状況でした。

参考資料

 この視力装置の開発・製作は、令和5年度に長野県岡谷工業高等学校情報技術科の授業の中で取り組み、製作・プログラミングを行ったものです。
 その時の生徒に配布した資料を掲載します。参考にしてください。


視力検査装置の開発・製作 1(ソフトウェア)

 視力検査のランドルト環

 自動車の免許更新や定期健康診断などで行われる「C」の形はランドルト環と呼ばれ、右図のように、大きさが定義されています。

 仕事柄、児童・生徒の年1回の定期健康診断を行うわけですが、学校では現在、視力検査の結果が「A:1.0以上」、「B:0.7-0.9」、「C:0.3-0.7」、「D:0.3未満」と4つので判断をするようになっています。

視力検査装置の開発

 学校現場では、定期健康診断は児童生徒の健康を知る上では大切な業務となるのですが、検査で使われる機器は高額です。また、年間1回ほどで使われるため使用頻度が低く、判定方式が変わっても、なかなか購入できないのが現状です。

 視力検査装置は約10万円から20万円ほどの価格で、学校では「A-D」の判定ができればよいので、右図のような簡易なものを使用しています。(日陶科学(株)様のサイトより)

 視力検査装置は様々な形態のものがあり、目的は視力判定ができればよいので、パソコンの画面を使って装置開発を行いました。
 

 ランドルト環の大きさは、測定者から測定板までの距離と測定する視力により、大きさが異なります。
 上記のランドルト環の図では、測定者からの距離が5mでは、ランドルト環の直径が7.5mm、切れている幅が1.5mmなどと定義されています。このランドルト環の定義に合うようにディスプレイ上に表示できれば、視力検査用に利用できます。


 視力検査の装置開発にあたり、流れを右図にようにしました。
 まずは、従来の検査器をディスプレイに置き換えただけです。 

 動作環境は、どのようなパソコンでも使えるようにブラウザで動作するように、JavaScriptでプログラミングを行っています。

 また、使用する画面のサイズにより、ドットピッチ(dpi)が異なるため、使用するディスプレイが変わると、ランドルト環の大きさも変化してしまいます。

 このため、使用するディスプレイの幅を入力してから、検査するようにすることで、どのサイズのディスプレイでも対応可能となります。

 実行画面が右図です。ブラウザは「最大化」で表示させておき、上部にあるテキストボックスに画面の幅を入力します。

 操作は、Enterキーで始まり、ランドルト環が表示されたら、切れている方向を矢印キーで入力していくと視力測定ができます。

 ソースをアップしておきます。  視力検査JSソース(距離3m用)

 展開して、「視力測定プログラム.htm」をブラウザで開いてください。動作が始まります。

※このプログラムのベースは、長野県岡谷工業高校情報技術科の課題研究の授業の中で製作したものです。少し、ソースが読みにくい点があるかもしれません。ご容赦ください。

ブレッドボード実験装置 4(論理回路製作)

 AND回路(論理積回路)

 ここまで紹介してきた実験装置を使い、ブレッドボードで論理回路の「AND」を実験する回路を製作しました。




 中央にAND素子(74HC08)を配置し、電源を供給してあります。スイッチ部からAND素子の入力ピンに接続し、出力ピンをLED+抵抗で結果表示するようにしています。
 動作状況を動作にてご覧ください。

 

複数のブレッドボードを連携

 右図の1枚のブレッドボードはFullAdder(全加算器)を組み立てたものです。この全加算器で1ビットの加算ができます。
 何人か出来上がると、このブレッドボードを連結することができます。右図では3枚ありますので、3ビットの加算回路として動作します(GNDを接続して共通にしておきます)。 

 この実験装置は、長野県岡谷工業高等学校情報技術科の実習にて活用されております。次のリンク先に実習資料がありますので、興味のある方はご覧ください。

論理回路実習資料


ブレッドボード実験装置 3(その他部品)

  ブレッドボードを使う際に、なかなか手間がかかるのが、抵抗やコンデンサなどのリード線の部品です。アキシャル部品では「コ」の字型に曲げてブレッドボードに差し込むのですが、挿入しにくく、足が曲がりやすいのが難点です。


抵抗など実験部品の改良

 差し込みやすくするため、秋月電子通商様などで販売している「2.54mmピッチ・細ピンヘッダ」を改造し、途中のピンを抜きます。よく使用されるピンヘッダもあるのですが、ブレッドボードに差し込むときには、細ピンヘッダが最適です。
 
空いたピンヘッダの上に抵抗を半田付けして取り付けます。
手間はかかりますが、実験用部品には最適です。






 細ピンヘッダの絶縁部分の色には8種類ほどあります。絶縁部分の色により、抵抗値を変えると、実験の時に、間違った抵抗値を付けていないかが、目視で分かるようになります。

 この他、CdSやコンデンサ。ダイオードも同じようにして製作しています。
 実際にブレッドボードに実装すると、右図のようになります。




ブレッドボード実験装置 2(スイッチ部)

  電源部とともに、必要なのが入力装置です。ここで、タクトスイッチを入力装置として、入力状態を表示するLEDを付けました。
 マイコン系でスイッチは負論理動作(押したときにLow出力)で使用することが多いのですが、デジタル回路の基礎実験をする際に、負論理ではわかりにくいので、正論理動作(押したときにHigh出力)となるように回路設計を行っています。

回路設計

 スイッチをオンにすると、電源5Vが出力端子に出力され、オフの時には、ブルダウンにより、GNDが出力されます。 
 出力側には、接続ミスなどでICなどを破損しないように100Ωの保護抵抗(過電流保護)を入れてあります。
 また、出力状態が分かるようにLEDを付けています。(正論理動作)
 回路は74HCシリーズでの動作レベルで設計しています。


回路動作

 回路の動作は、スイッチを押すと出力端子にHighが出力され、合わせてLEDが点灯します。スイッチがオフの時には、出力端子にLowが出力され、LEDは消灯状態となります。

 これで、スイッチ回路が簡単に操作できるようになります。




 出力端子の部分は、ジャンパ線を指しやすくするため、丸ピンICソケットのピンを半田付けしています。


 右図はPCB設計の画面キャプチャです。


※KiCAD7で設計を行っています。もし、KiCADデータが必要な方は、
 メールにてご連絡ください。ファイルを提供いたします。
 ただし、提供したデータの追加・変更、基板製作などは自己責任にてお願いいたします。
 (電源のコンデンサを入れ忘れています。安定させるには追加が必要です)
 部品類は秋月電子部品通商様にて入手可能です。
 


ブレッドボード実験装置 1(電源部)

 

 ブレッドボードは、電子工作などの回路を試作する際に使われる部品です。

 しかし、慣れていないと電源の供給や部品の取り付け間違いで、うまく動作しないことがあります。そこで、慣れていない人でも実験しやすい装置の設計・製作を行いました。


電源回路部

 まずは、必ず必要な電源回路部です。
ICなどを使用する際に、よく使うDC5Vを基本に設計しています。完成品が右図です。

 回路図を示します。
 ACアダプタから、電源入力を行い、ブレッドボードで起こりやすい電源短絡(VccとGNDが接続)することが初心者がやるミスの一つです。ジャンパ線を指す位置を間違えると起こる可能性があります。この時に、回路部分が短絡となるため、大きな電流が流れ、危険です。このため、りせったぶるヒューズ(50mA)を入れて、電源の保護、発熱防止をしています。
 内部で3端子レギュレータで+5Vに安定化しています(コンデンサを入れ忘れていました)。電圧を安定化させ、ブレッドボードの電源部分の上側にVcc、下側にGNDとなるように加えています。電源回路では、ピンヘッダを使って、ブレッドボードに刺さるようにしています。
 また、回路により12Vなど、5Vでない場合もあります。このため、途中にスライドスイッチを入れて、3端子レギュレータを通さずに直接出力するようにしています。

 KiCADで設計し、基板発注を行い、完成させました。

 ここで紹介したブレッドボードは、秋月電子通商で販売されているE-Call Enterprise社製のもので設計しました。サンハヤト製は電源部分の幅が違うため、一番多く使用しているE-Call Enterprise社製としています。

 これで簡単に電源供給できるようになります。


※KiCAD7で設計を行っています。もし、KiCADデータが必要な方は、
 メールにてご連絡ください。ファイルを提供いたします。
 ただし、提供したデータの追加・変更、基板製作などは自己責任にてお願いいたします。
 (電源のコンデンサを入れ忘れています。安定させるには追加が必要です)
 部品類は秋月電子部品通商様にて入手可能です。
 

2025年12月11日木曜日

人にやさしいアクリル加工

  ものづくり教室用のキットを製作しているときに、何度かアクリルの角でわずかなケガ(引っ掻き)をすることがありました。何度かものづくり教室を開催してますが、幸い子供たちが怪我をすることはまだありません。しかし、アクリルの角でケガをすることはありうることです。そこでわずかですが、改良を加えました。

 アクリルの角をわずか1.0mmだけ丸くしました。

 見た目はほとんど変わらないのですが、左図が角あり、右図が角無しです。
 加工したアクリルの角を触ったときの感触は全く違い、明らかにケガがしにくくなることを実感しました。






 このアクリルでキット製作をすると、やはりアクリルの角の部分がとなっていたものが、丸くなり、子供たちが遊んで切るときに、角でケガをすることが少なくなると感じています。


LEDマトリックス表示装置の設計・製作 9(画像表示)

  LEDマトリックスに画像を表示させるには、いろいろな画像形式を知る必要があります。現在、よく使われるJPG形式やPNG形式は圧縮処理されて保存されています。これに対して、BMP形式やTIFF形式は非圧縮形式で、画像データがそのまま保存されています。このため、ファイルは大きくな...